中学受験の国語では、語彙力についてどのように考え、どのように勉強したら良いのでしょうか。
- 中学受験の国語の勉強に、語彙力の勉強はしたほうが良いのか?
- 語彙力を強くする方法とは?
- 時間コスパの良い語彙力の勉強法?
- 語彙力がつくおすすめの教材はなにか?
今回はこのような悩みや疑問について話していきます。
国語の勉強で語彙力をつけることは必要なのか
保護者様の中には、語彙力の必要性にはあまりピンとこない方も多いかもしれません。
しかし結論から言うと
国語の成績を伸ばすためには、語彙力は絶対に必要な要素です。
文章の用語が平易なときは点数が取れるのに、少し難しい言葉が出てくると全然できないという生徒は、語彙力を強化すれば国語の得点力アップに繋がります。
私の生徒の中でも、語彙力を強化した途端偏差値が10以上上がった例が何人でもいます。
このように語彙力は国語をできるようにするうえで非常に重要な要素なので、あまり時間を掛けず効率的に語彙力を強化する方法などについてもこのあと話していきます。

そもそも語彙力とは何か?
語彙力とは、読みの面では「言葉の意味をどれくらい知っているか」という能力をいいます。また解く面では、その意味を知ったうえで「どれだけ使えるのか」という能力をさします。
なぜ語彙力をつける必要があるのか
語彙力は読解に必要!
一言でいえば前述の通り、文章を読むという面にも解くという面にも関わる要素だからです。
文章を読むうえで語彙力がなければ、その周囲の箇所は意味が曖昧になりうまく読み取れません。
また解くうえでも、語彙力がなければ選択肢の意味がわからなくなったり、解答全般の正確さが欠けてしまいます。
現状の国語教育では、読解で努力が実を結ぶ唯一の勉強法
国語は努力が実を結ばない教科といわれます。それは、国語の読解は 他の教科と比べてセンスや技術的な側面の比重が非常に大きいからです。
つまりそういう側面が身についている者は高得点を取り、それが身につかなければどんなに時間を割いて努力しても成果は出ない教科なのです。
そうしたなかで、語彙力を高める勉強は国語の読解において、唯一努力が実を結ぶ勉強と言えるでしょう。ぜひやるべきだと思います。
わからない言葉があっても推測すればよいという意見について
それはある程度あるかと思います。実際試験中にわからない言葉と遭遇したら、推測で乗り切るべきです。
しかし、推測するためにもある程度語彙力が必要ですし、限界はあるかと思います。わからない言葉が多くあれば、文章全体がわからなくなってしまいますね。
語彙力を高める方法

なるべく親子で会話をする
いってみれば語彙力とは日本語の意味をどれだけ知っているかということなので、会話をすればするほど語彙力は高まっていきます。お子様が比較的口数が少ないタイプであったら、なるべくいろいろ話しかけて言葉を引き出すようにすればより効果があります。まずは会話をすることが、手っ取り早く語彙力を高める方法になります。
特に大人としゃべるというのが、子供にとって有効です。そういう機会を増やすようにするとよいかと思います。
トピックなテレビ番組を選んで見る
テレビは入試の大敵といったイメージが有るかと思いますが、利用法によっては語彙力のトレーニングになります。テレビの番組表を見て、トピックな内容の番組を見つけてみてください。
- NHK
- テレビ東京系列
- それ以外の民放も報道番組など
にわりと使える番組があります。またBS,CS番組の中にも良いものがあるかもしれません。
またテレビでなくても、You TubeやNetflix、アマゾンプライムなどにも適当なものがあるかもしれません。
読書をする

一般的に「読書をする子供は国語ができる」といわれるのは、語彙力があるからです。読書する時間があれば積極的に読書をするべきです。
なるべく説明文系を読め!
中学受験に使われる文章は、どちらかといえば説明文的文章よりは物語小説の方が出ます。だから物語を読むのもよいのですが、物語文の入試問題はあまり語彙でわからないというのは少ないんですよね。
語彙で困る場面というのはどちらかというと説明文系なので、読むならこういう文章がおすすめです。
本にこだわらなくて良い
読書というと本と考えがちですが、本にこだわらなくてもよいかと思います。新聞でも良いし、ネットニュースや記事でもよいかと思います。形態よりは、実際に読むということの方が大事です。
ただし可能であれば、入試で出る文章は縦書きなので縦書きの文章の方が良いですね。
読書が好きなのに国語ができないという受験生は意外に多いです。たいていは解く要領がわかっていないことが多く、逆にそれが身につければ解決されます。
私の教える添削付オンライン講座「国語記号化読解術講座」では、解く思考法を根本から教えますのでよければ検討してみてください。
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辞書で調べる習慣をつける

よくいわれることですが、語彙力をつけるには辞書で調べることも有効です。国語の問題や読書でわからない言葉が出てきたら、すぐ辞書を引いて調べる習慣を持ちましょう。
時間コスパの高い語彙の勉強法

得点や文章読解に影響出やすい語彙に絞って学習しろ!
慣用句を最重点に勉強しろ!
語彙の学習で最も重要なのは、ダントツで慣用句です。慣用句以外は文章の理解に影響はあるかもしれませんが、慣用句は読解の問題に絡んで出題されることがあります。
一見読解問題ですが、中身は慣用句の意味さえ知っていれば正解が取れる問題です。語彙知識ではあるのですが、点数レベルで影響が出やすいのが慣用句です。
カタカナ外来語も差がつく!
文章の理解において大きく差が付きやすいキーワードに、カタカナの外来語が挙げれられます。漢字であれば構成される漢字からある程度意味が推測できるのですが、これは漢字でないので漢字による推測ができません。
特に説明文系で、知っているか知らないかで大きく差が付きやすいです。
心情語も知らないと差がつく!
心情語とは「かなしい」とか「うれしい」といった心の状態を表す言葉です。このような言葉は、小説物語の読み取りではカギになるので、よく知っておいたほうが良いと思います。
親に聞けるという体制を作る
本当はわからない言葉が出てきたら、辞書などで自分で調べるのが理想的です。しかしそれを自発的にやる子供はすでに国語が得意な子供ではないかと思います。できなくて国語が嫌いな子供は、この作業が苦痛でちょっと言ったくらいではやらないかもしれません。
そこで次善の策として、わからない言葉があったらその場で親に聞くということにしたらいかがでしょうか。
もちろん賛否両論あるでしょうけど、やらないよりは良いのではないかと思います。
この場合親は正しく答えられるかどうか構えてしまいそうですが、別に辞書に載っているような厳密な意味でなくてもいいと思います。もちろん辞書で調べて教えられたら理想的ですが、ご自身が知っている大体の意味で十分目的は果たされると思います。
それよりもこの方法のメリットは、その文章に合わせた解釈として教えられるということです。文章によっては、辞書に書いてある内容に腑に落ちない場合があります。そういう場合自分で解決するのは不可能です。
それに対して、親であれば子供よりも何十年も多く日本語を使ってきた存在です。文章を読んで「この文ではこんな感じよね」という話になれば子供は「なるほど!」となることが多いかと思います。
ですから、国語の苦手な受験生は「わからない言葉は親に聞く」というのはありだと思います。
漢字学習のときに意味を意識して学べ!
漢字の学習は塾に行っていれば必須の学習になります。通常は漢字さえ覚えれば一丁上がりという勉強の生徒が多いのですが、語彙力の学習も兼ねて「その言葉の意味はなにか」ということを強く意識して漢字学習に臨むことも有効です。
多少時間は多くかかるかもしれませんが、改めてやるよりはよほどコスパの高い勉強になるかと思います。
最悪、プラスかマイナスか押さえろ!
言葉にはプラスの言葉、マイナスの言葉、中性の言葉があります。プラスの言葉は良いときに使う言葉、マイナスの言葉は良くないときに使う言葉、そして中性の言葉は名詞などプラスもマイナスもない言葉です。
あまり入試まで時間がなく切羽詰まっていて、理想的なことが言えない場合は、これだけ押さえればよいかと思います。
というのも文章理解においては、わからない言葉であってもプラスかマイナスかに確信が持てればある程度推測で読めちゃうからです。
ただし、意味だけでなくプラスマイナスもわからない言葉があった場合は、文脈から推測しなくてはなりません。しかしこれは外れる可能性もあるわけで結構リスキーです。やはり、語彙の学習でプラスマイナスを押さえることは重要だと思います。
語彙の専門教材を使え!
一番手っ取り早く有効な方法は、語彙力の学習を目的に作られた教材を利用する方法です。何でもかんでも闇雲に調べて覚えていくのは、時間がすごく取られてしまいます。
このあとおすすめの語彙教材をご紹介します。
おすすめ語彙教材
難語2000
語彙の学習を完璧にやりたい方は、これがおすすめです。量は非常に多いですが、ここまでやったら語彙の学習はこれ以上いらないかと思います。
ただ正直、語彙の学習としては非常に大変かと思います。これ1冊をやるのにも、相当時間がかかることは覚悟しなくてはなりません。やるなら5年生以下の受験生がやるべきですね。
カードで合格
特に外来語のキーワードや説明文で差がつくキーワードについては、うまくまとめられているなと思います。反面、数は少ないので、最小限の勉強でそこそこ語彙力をつけたいということであれば、これがおすすめです。
小説「中学受験物語」
子どもたちに「中学受験の意義」を理解してもらい、やる気を引き起こすために、私が書いた小説教材です。モチベーションを高める方法はいろいろあるのでしょうけど、私ができるのは「中学受験はなぜやるのか、やらされているのか」を子供が勉強に前向きになるように説明することだと考え、執筆しました。
さらに本書は、慣用句が国語入試に重要であることを鑑み、入試に出やすい慣用句をあえてたくさん取り入れました。そして、慣用句の箇所には線を引き、すぐ横の行間にその意味や同意語などを記載しました。
したがって、文章を読みながらよくわからない慣用句があればすぐ横を見て、意味や同意語などを学ぶことができます。
しかもこの教材は、休憩感覚で気楽に読んでもらえるようにあえて笑えて泣ける小説にしたので、楽しみながら慣用句の意味を理解したり、文脈における慣用句の解釈のトレーニングにもなります。
他の教材では得られない効果だと思いますので、ぜひご検討ください。
語彙の学習で気をつけるべきこと

6年生はやりすぎない
語彙の学習と言ってもやりだせば無限にありますので、こればかり勉強するわけには行きません。また知らない言葉の意味を知るということは、ある意味すごく楽しいことでもあります。
しかしあえて家庭教師という立場で申し上げると、これまでの記述と矛盾するようですが、この勉強に「はまらないでほしい」と思います。
いうまでもなく、受験は国語だけではありません。しかも勉強した語彙が試験に出るかどうかというのは、ある意味偶然性が伴います。言ってみれば、一所懸命勉強しても試験に出なければあまり意味がなかったりするわけです。
したがって語彙の強化というのは、国語の勉強として有効だけれど、各教科のバランスを考えてやってください。特に6年生ははまらないように、なるべく時間コスパのよい方法をおすすめします。

読解の技術を身につけないと効果は乏しい!
語彙力というのは読解において必要不可欠なものなのですが、読解技術が身についてないと効果は非常に限定的です。劇的な効果はおそらく期待できないです。
国語の実力アップに最も直結するのはやはり読解技術を身につけることで、これが根幹になります。語彙力というのは、より正確な理解を叶えるために読解技術をサポートする関係にあります。
メインはあくまで読解技術です。
読解力に自信がないのであれば、まずは読解技術を学ぶことが先決だと考えます。
